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ご批正深謝(旧書籍コード)

 
 古書project の姉妹サイトというか、前身というか、「the古書」というサイ
トがありますが、

 http://kosyo.net/

ここの BBS に、本ブログで「古書project」のことを書いたとお知らせしました
ら、数時間もしない内にコメントが寄せられ、緑風舎様在庫の『不協和音』は、
1976(昭和51).11.20の第2刷で、1073-132551-0777 に間違いないとのこと。

 まずは、十分な下調べもせず「ミス」との指摘を軽率にも記しましたこと、お
詫び申し上げます。また、早速に現物に当たって情報の正確性を確保、ご教示い
ただき感謝申し上げます。
 編集者の校閲などがないネット記事ゆえ、今後も似たようなご無礼があるやも
しれず、ご指摘は謙虚に受け留めてまいりたいと思います。

 さて、

> 貴兄の記されている 1073-132550-0777 は別版かも知れません。

とのコメントに、すぐ思い浮かんだのは、
 「版刷管理に使われたのか?」
ということでした。
 ISBN でさえ、出版社の都合で装幀が変わったら番号が変わった、ということ
があります。あるいは、ISBN や書名から特定した書籍の奥付を見ると、時代の
変化に合わせ、例えば紙メディアを対象とした大元の原著から、音源・映像を対
象に含めて改訂、改訂新版、改題、増訂、など、驚くほど息の長い変遷を重ねて
いる本に出会うこともあります(法令の改正に伴って増補を繰り返すような書籍)。

 私の手持ちの『不協和音』(1073-132550-0777)は、1971(昭和46). 7.25の第1
刷ですから(函・奥付共)、緑風舎様在庫の第2刷とは5年の隔たりがあり、旧書
籍コード運用開始間もない頃の初版とは、出版社内のナンバリング管理事情が変
わった結果と考える可能性もアリか? との解釈も否定しきれません。

 いずれにせよ、2つの版の異なる書籍コードで同じ本(タイトル、著者、訳者、
内容)が存在する、ことは歴然とした「事実」として確かめられました。
 「書誌との付き合い方」の今後において、「そういうこともある」事例が加わ
り、「わきまえておくべき事柄」が豊かになりました。

 重ねてお礼申し上げます。
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1960年代以前の書誌を捜す

 
 旧書籍コード以前、つまり1970年より前に出版された本は、どのようにして探
(捜)すか?

 実はここに、アマゾンが一人勝ちするポイントを見出すことができます。
 「古書project」では、Bsearch の Help に、「○コード化以前の書籍の場合」
とあり、

> 出版者コードとNDL-OPAC全国書誌番号、を用いて検索できます。
> NDL-OPAC全国書誌番号が無い場合には、国立情報学研究所のNIIコードを割り
> 当てています。
> 上記いずれにもない場合やシリーズもの等特別な場合には、古書Project独自
> コードを付加しています。

というスタンスを採っていて、あくまで「標準化」路線を守っています。一方、
アマゾンでは、1971年音楽之友社版『不協和音 管理社会における音楽』に付い
ていた「ASIN B000J93G94」と同様の、アルファベットと数字を組み合わせた10
桁の商品管理番号を、手元にあろうがなかろうがどんどん付けていきます。

 試しに、手元にあった6冊ほどの書籍を検索してみましょう。

・音楽と思想    ,シクラ     ,三一書房 ,1956, ASIN-B000JB0QFO
・アメリカの音楽教育,浜野政雄    ,音楽之友社,1957, ASIN-B000JAYPJI
・音楽社会学入門  ,ジルバーマン  ,音楽之友社,1958, ASIN-B000JAUEKM
・音楽にみる女性史 ,ドリンカー   ,音楽之友社,1967, ASIN-B000JA6CTO
・音楽と音楽家   ,アインシュタイン,音楽之友社,1968, ASIN-B000JA5NJO
・七つの肖像    ,北沢方邦    ,合同出版 ,1968, ASIN-B000JA5AWO

 「古書project」の書誌検索で、タイトルおよび著者の両方で探してみました
が、いずれの書籍もヒットしませんでした。これは無理からぬ面もあり、参加店
が現在扱っている、あるいはかつて扱った書籍が登録されてデータ・ベースに載
らない限りヒットはしません。
 一方、アマゾンの検索窓でジャンルを「本」に指定して、それぞれの書名・著
者で調べたところ、ことごとくヒットしました。歴然たる差異です。「大したも
のだ」と感じないではいられません。
 また、「私本管理Plus」(フリー・ソフト)はアマゾンからデータ取得していま
すから、検索に使う ISBN と同列でこの「B000J~」が扱われてデータが整理・
管理できます。知らず知らずの内にアマゾンでしか通用しないコード番号で蔵書
管理をしている姿が、背筋の寒くなる思いですが、その点をわきまえているので
あれば、蔵書管理の一元化が実現し、意味のないことではありません。

 当然ですが、アマゾン独自のコードですから、アマゾンでしか探せません。が、
商品は特定されているので、マーケット・プレイスに出品された中から、
 「読めればいいから安く手に入れる。」
 「お気に入りの作家だから、なるべく美本を手に入れたい。」
などの自分なりの基準で購入すればよいわけです。アマゾン自身が在庫を持って
いなくても、在庫を持つ古書店を束ね、取引の仲介をしてやることで、出品者・
購入者の利便を図るわけです。

 この「ASIN」コードがどういうルールで付いているのかは知りませんが、事実
上「アマゾンを探せば大抵見つかるだろう」という気にさせられます。
 便利だ便利だと使っていたら、いつの間にか Windows の OS なしには作業が
できなくなっていた、という構図と似ている気がします。
 おそらく、「何でも商品化してしまう」アマゾンの「コード化処理」には、そ
うとう多額な経費をつぎ込んでいるのではないでしょうか。
 とても個人や、たとえ古書店を営んでいても、店番・商品入荷・受注・発送な
どの日常業務の片手間にコード化していたのでは太刀打ちできません。

 ただ、「古書project」の登録件数は既に250万点。その内、検索可能な公開デ
ータが現在120万点程だそうで、参加古書店が増えれば増えるほど、そのデータ
・ベースは急カーブを描いて充実していくでしょう。
 何より、NDL や NII という公開されたデータを流用して販売・流通のコード
が考えられるのであれば、一企業の独占に荷担する ASIN よりは意義のあること
だと思います。
 利用者は、おそらく手間要らずのアマゾンの便利さに抗いがたい魅力を感じな
がらも、また目先の入手はアマゾンを利用しながらも、「先人の智」を広く共有
する意識も保ちつつ、手持ちの文献資料と向き合うことになっていくのでしょう。
 Linux は、別に Windows に対抗しようと思って立ち上げたわけではないでし
ょうが、愛好の徒に支えられ、今では一部の市役所など行政で導入する端末 OS
にまで成長しました。「古書project」は云わば「オープン・ソース発想の古本
版」とでもいうべき存在だと思いますが、焦らず、地道に、いつかは市民権を得
ると信じて「プロジェクト」を進めて頂きたいものです。

 その意味では、旧書籍コード時代の本の「コード化処理」については解説があ
りますが、NDL や NII コードを取り入れた処理法についても指南の解説がほし
いところです。

アマゾンの存在とは

 
 『不協和音 管理社会における音楽』(音楽之友社、1971)
 『不協和音 管理社会における音楽』(音楽之友社、1982、ISBN番号あり)
 『不協和音 管理社会における音楽』(平凡社、1998、ISBN番号あり)

 古書という、いささか「通人」めいた世界でも、データの標準化の努力が行わ
れていることを「古書project」を例に眺めたわけですが、では、新刊・古本を
問わず、音楽で言えばCDや楽器や、果ては衣料品から装飾品からアウトドア用
品まで、何でも扱うネット販売の雄である「アマゾン」には、いったいどんなポ
リシーや企業努力があるのか。

 実は、商品というものを、内外を問わず入手・流通のシステム化において統一
してしまうアマゾンの手法は、2つの点で注目していました。

 ひとつは輸入出版物の扱い。言語のハードルと違い、五線に描かれた「楽譜」
は、国内版でも海外版でも利用に差異はなく、リーマン・ショック以降の円高は
輸入品の入手も懐に負担が少なくて済みます。
 1980年代半ばから、欧米の楽譜を結構な数取り寄せましたが、海外でも徐々に
カタログ番号や受発注番号に ISBN が使われ始めるのを感じていたので、手元に
ある楽譜の「978-0-xxxx~」(国別コード「0」は英語圏でイギリスやアメリカの
出版物)をアマゾンの検索窓に入れ、ジャンルを「洋書」にしてヒットしたりす
ると、それだけで期待が高まったものでした。
 特に日本では、日販・東販といった一般書籍の流通・取次と違い、松沢書店・
大阪村上楽器などの「楽譜・音楽書専門」の取次店があり、学校向け教材(副読
本やワークブックなど)出版社のルートなども絡んで、その流通は複雑でした。
最近は、ジュンク堂などの大型書店が楽譜のコーナーを充実させるなど、閉鎖的
な錯綜感は改善されつつありますが、これも ISBN の普及によるものでしょうか。
 いずれにせよ ISBN の ISBN たるゆえん「international」な出版物を扱う方
針は、外国版入手という点で期待を持たせるものです。

 もうひとつは、マーケット・プレイスの存在。全国あちこちに散在している古
書店からの出品物がアマゾン一箇所に集約され、支払いも集約されるのは大変便
利な仕組みで、あちこち個別に払い込んだりという手間が省けるのは、それだけ
でも使い勝手が良いものです。
 古書に限れば、「スーパー源氏」や「日本の古本屋」というサイトでもさまざ
まな書籍を探(捜)すことはできますが、新刊も古書もCDもその他のものも、ひ
とまとめに買い物ができる便利さや、クレジット・カード決済にできる便利さは、
やはりアマゾンに軍配が上がるでしょう。
 最近は、ブックオフがネット販売に進出しやり、楽天ブックスが楽天市場と相
互にデータを遣り取りできたり、ライブドア・ブックスでは「新品検索」と「中
古検索」をクリックで選べるようになっていたりしています。一昔前に比べると
随分「中古」市場の裾野が広がったようですが、その先鞭はアマゾンであり、実
際にいろいろサイトを見ていても、アマゾンに一日の長があるようです。

 ただ、弊害と言うにはあたらないと思いますが、いわゆる「アマゾンの一人勝
ち状態」という声は、比較的よく耳にするように思います。
 アフィリエイト・フィーを払える資力は先手を打った者の強みでしょうか。フ
リー・ソフトの「私本管理Plus」では、インターネット上のデータ取得はすべて
アマゾンから提供されるものを使っていますし、「本の検索(BooksSearch)」(や
はりフリー・ソフト)も、検索候補リストを作成すると、下部に、
 「本リストはAmazonから取得していますので、Amazonで取扱のない商品は表示
されません。」
と素気ない表示を出します。
 (アマゾンじゃないところも含めて捜して来いよな。)
と注文を付けたくなるのですが、実際大手書店(例えば三省堂とか丸善とかジュ
ンク堂とか)の検索や在庫情況などと比べても、あるいは上述の中古も含めた検
索が可能になっている販売サイトと比べても、アマゾンに分があるとは実感する
ところです。

 では、贔屓目には陥らず、掛け値なしのアマゾンの「使える」部分は? とい
えば、「ASIN」コードまで作成して商品を開拓している点でしょうか。アマゾン
のヘルプには、「ISBN/ASINについて」という項目があり、

> 「Amazon Standard Identification Number」の略で、Amazonグループが取り
> 扱う、書籍以外(!)の商品を識別する10桁の番号です。CD、DVD、ビデオ、ソ
> フトウェア、ゲームなど、書籍以外の商品の詳細ページに記載されています。

と解説されています。試しに、「古書project」で登録ミスと思われた『不協和
音』をアマゾンで検索してみると(ジャンル「本」)、実に3種の商品がヒットし
ました。上から順に、

・1971年音楽之友社版、ASIN B000J93G94 (アマゾン独自の商品として扱う)
・1982年音楽之友社版、ISBN が付されたので、書籍として扱う
・1998年平凡社版、出版社も変わったので、別商品(ただし書籍)として扱う

という認識のようです(ヘルプの説明と違って、「本」のジャンルで1971年版が
ヒットしたことに、蔵書を愛でる者としては心をなでおろす思いです)。
 つまり、販売・流通の立場では、商品管理に有効な ISBN があれば書籍として
扱い、手がかりのない「1971年版」は、ASIN 扱い。1982年版は現物にあたった
わけではありませんが、同じ出版社であれば、装幀・判型・ページ数も同じよう
な「重版扱い」だったのではないかと想像されます。しかし管理・受発注・出荷
などの観点から、外見は同じでも管理上は別商品(出版物)。
 ところが、出版社も移管され新装復刊といった扱いの1998年平凡社版は、1982
年版と同じ「書籍」扱いなので、アマゾンでは「商品の説明」に「このテキスト
は、文庫(平凡社)版に関連付けられています。」として、1982年版との共通性を
謳っています。

 かくして、著者・訳者が同じ40年を越えるロング・セラーは、読者個人として
は中身の同じものでありながら、「別商品」として扱われているというわけです。
 単行本が文庫本に落ちる場合は、巻末に「解説」が付いたりして、その解説を
誰が担当しているか、などの興味もありますが、一般読書人は、
 「単行本で持ってるから文庫は買わなくていいや。」
とか、逆に、
 「どうせ2年もしない内に文庫になるだろうから読むのはその時でいいや。」
などと納得するものです。が、書籍という「商品」にとってみれば、ISBN の導
入というのは、住民の戸籍管理が旧戸籍から改製原戸籍に移された(昭和30年代
前半)にも等しいほどの「大改定」に匹敵する意味があったのだと思われます。

 この点で、ISBN 導入より前の出版物を、スパッと切り捨て、たまたま書籍の
形態をした「物」と割り切って ASIN コードを割り当てたアマゾンと、現在も残
る「取引コード」を手がかりに「コード化処理」を試みた「古書project」は異
なる方向性を歩んでおり、「書誌を丹念に拾う」という立場では「古書project」
の方に好感を覚えます。
 いずれにせよ、ISBN 導入以前の1970年代の出版物について、「古書project」
とアマゾンという、複数の検索手段が与えられていることに安心・安堵の念を感
じます。巨人アマゾンの一人勝ちにはしない可能性は、是非ともその火を消さず
に存えてほしいものです。
 『不協和音』でいえば、もしアマゾンでは見つからなくても、古書project で
は見つかる、という可能性が裏付けられました(出品業者が両方に登録している
ことも有り得ますが、ここでは検索のルートが複数あることが重要ということ)。

 では、「古書project」も独自のコード処理をせざるを得ない1960年代、つま
り旧書籍コードよりさらに前の文献資料はどんなことになっているのか。

古書projectの存在価値

 
 『不協和音 管理社会における音楽』(アドルノ著、三光長治、高辻知義 共訳)

 書物の検索という営みを、この記事を書いている2011年現在で考える時、既に
触れた

・NDL-OPAC 国会図書館
・WebCat 国立情報学研究所

などの書誌「学」的な、あるいは図書館や所蔵施設に「請求」「借りる」際のデ
ータは提供されているわけですが、学者が論文を書いたりするのなら、所蔵施設
を調べ、足を運んで借り出し、という労は仕事上の手段ですから厭わないのはま
だしも、市井の一般人にはそんな時間もありません。「本好きで」「比較的時間
も捻出できて」それでもせいぜい「億劫にならない生活圏に図書館がある」とで
もいった「恵まれた」環境が揃った人が、やっと初めて NDL-OPAC にあたり、あ
るいは WebCat を調べ……、と取り組むのだと思います。

 ところで、NDL-OPAC では書誌を受け入れた際の定価は分かりますが、その後
その本が今でも巷で入手できるロング・セラーなのか、現在の価格はいくらか、
といったことは分かりません。WebCat も WebCat Plus も、値段のデータはあり
ません。図書館などの施設は、受け入れた資料をデータ化し、閲覧者の利便のた
めに提供はしますが、それはあくまで受け入れた時点のものであり、その瞬間か
ら一部の情報は「過去」のものになっていく宿命にあるわけです。

 古書project は、古書店が連携し、流通している古本を対象にデータを蓄積し
ているという点に、興味深い側面を感じます。
 ここで蓄積されたデータは、まず各古書店が付けた値段が表示されます。商用
流通のための情報である以上当たり前と言えば当たり前ですが、稀覯本で高く値
付けされたものも、定価より安価なものも一緒に並びます。
 そして書名または[詳細]をクリックすると、基本データというか、発刊当時の
定価などがわかる「書誌」の個別基本データが提示されます。可能な限り表紙画
像も表示されるようになっています。一番下には「在庫検索」のボタンがあり、
入手できるかどうかが判ります。

 検索条件には、当初「在庫検索」が表示されていますが、一方で「書誌検索」
というモードで使うと、

・過去に登録されて書誌データは存在するが、現在取り扱えない書籍

が出てきます。試しに「4-b0777」(旧書籍コード時期の音楽之友社)で在庫検索
すると12件のヒット、これが書誌検索だと15件ヒットしました(2011. 8.13現在)。

 さて、その中でも冒頭の『不協和音 管理社会における音楽』は、旧書籍コー
ドが「1073-132550-0777」なので、「古書project」の「コード化処理」に従え
ば、「4-b0777-132550-b」となるはず。
 当初「在庫検索」で「4-b0777」を調べるとヒット、単に書名で「不協和音」
とだけ入力してもヒット。在庫検索で表示されるのは「分野」「書名」「著者・
訳者」「出版社」「値付け」の5つだけですが、いわゆる「古書project版ISBN」
とでもいった「4-b0777-132550-b」でピン・ポイント検索ができるか試したら、
何とヒットせず?
 あわてて[詳細]で書誌を表示させると、「4-b0777-132551-b」となっていて、
これは登録時の入力ミスだろうと分かりました。惜しいことですが、やはり最後
は人間の目でチェックする必要のあることが理解できます。

----------------------------

<初出後訂正挿入>
 8/18、「古書project」管理人様よりコメントがあり、『不協和音』(第2刷)
は「1073-132551-0777」で間違いないとのご指摘。
 お詫び・お礼とともに、私が持っている第1刷との違いから、出版社内で「版
刷管理」に使った可能性なども含めて別記事を認めました。お読み下さい。

----------------------------


 古書project は、ややマニアックな存在ではありますが、旧書籍コードを現在
の ISBN に拡張・一般化したような処理により、検索の幅を広げてくれています。
 ワールドワイドな体系に組み込まれたことで、国内外を問わず出版物の管理に
利用できる ISBN を、1970年代日本独自の旧「書籍コード」にまで拡張して一種
「標準化」を試みた意義は大きいと思います。

 プロジェクトの参加は、基本的に古書店を対象としており、年間の利用料が、
サーバー利用の有無などのさまざまな料金体系で提示されていますが、
 「手元にある1970年代旧書籍コードの本を、販売・流通目的でなく書誌データ
提供という目的」
でデータ登録することは可能なのか、運営の方に訊いてみたいものです。

旧書籍コードとの付き合い方

 
 さて、ブログ・タイトルの下に、「1970年頃から蒐集した蔵書を整理」とあり
ますが、現在主流の ISBNコードは1980年代に入って徐々に導入されていき、い
っとき裏表紙にあの二段のバーコードが無粋に居座るのが品位に欠けると、装幀
家などのデザイナーから不満の声が上がった話題も記憶しますが、売れれば実入
りにもつながるからか、大きな社会問題ににまではならずに定着したようです。
 以来、今日まで約四半世紀。Windows95 以降に普及したネットには、当然なが
ら現行の「日本図書コード」についてはそこそこの解説を見出せますが、1970年
から10年余り活用された「書籍コード」については、すっきりとまとめて解説し
ているサイトはなかなか見つかりません。

 まあ、四半世紀といえば一冊の本にとっては「古書」「古本」の扱いですから、
最新のデータを扱うようなビジネスとか経済の分野では存在価値も薄く、「古典
的名著の初版本」「改訂前の旧版」などといった、30年も前の出版物を捜し求め
る輩に至っては「マニア」とか「酔狂」とか、学者もどきの人間像が見え隠れし
ます。

 がしかし、日本書籍出版協会と日本出版取次協会が制定し、有効範囲は日本国
内だけとはいえ、ひと頃は「業界標準」であったナンバリング・コードを何とか
利用できないか。国立情報学研究所(Web Cat)のような学術利用、図書館利用の
標準ともいえる NDL-OPAC のような存在はもちろん有用な情報ですけれども、商
用目的で既に使用中止となった書籍コードも、何らかの「知のツール」として使
えないものだろうか。
 実際に「書籍コード」が記載された本を手元に持つ身には、その有効利用法を
考えないではいられません。

 例えば、現在の ISBN 番号の内、国番号の「4」の次が出版社(者)番号ですが、
大手老舗の2桁から(例えば岩波書店は「00」、小学館は「09」)、2010年に登録
された出版者(社)では6桁の番号を割り振られている例もあり(この会社は100冊
しか本を出せない? と心配してしまいます)、全体の桁数は10桁(ISBN-10)か13
桁(ISBN-13)に収める約束ですから、ちょっと見にはどこまでが「登録出版者」
番号(コード)なのか分かりません。
 しかし、1970年の旧「書籍コード」は、「xxxx-yyyyyy-zzzz(出版社により、
「y」の部分は4~6桁の幅があり)」の「zzzz」部分が出版社コードと判りやす
くできています。例えば音楽書の出版では実績のある「音楽之友社」は、ISBN用
の「276」と旧「書籍コード」時代の「0777」の2種の番号を持っていますが、
現在ではこの「0777」が書店・取次向けの「取引コード」として生き存えている
ことが分かります。

 そこで、上述の「古書」「古本」という視点からあれこれ探してみると、

 「古書project」(http://www.k-pj.com/book/index.html)

という一種の「古書《標準化》計画」が稼動しています。

 「Bsearch」という検索窓が用意されていますが、「Help」画面によれば、

> あまり利用はないと思いますが、一応、旧書籍コードによる検索が出来ます。
> 在庫検索で、旧書籍コードを入力して下さい。

とあり、試しに手元にあった音楽関連書籍を入力してみたが、なかなかヒットし
ません。
 「ならば著名作家の一般文芸書辺りではどうか?」
と、五木寛之の著書から「0095-665900-7904」を検索してみると、見事に『ゴキ
ブリの歌』(毎日新聞社刊、1971)がヒットしました。
 で、そこに表示された「4-b7904-665900-b」というコードが、「古書project」
で施す「コード化処理」であることが分かります。その取り決めについても詳し
い解説が為されていますが(上述サイトから、画面の「古書会館」>「資料室」
と辿って「コード化処理」を参照)、そこから、音楽之友社の出版物であれば、

 「4-bzzzz-yyyyyy-b」
 日本「4」の、
 旧書籍コード「b」で、
 音楽之友社「zzzz部分が0777」の、
 書籍番号「yyyyyy」(末尾の「b」も旧書籍コードの識別)の本

というルールに基づく書誌コードが作成されていることが分かります。これで、
アマゾンをはじめとする多くのネット販売サイトで商品識別に使っている ISBN
(1980年代以降)に加え、「4-b0777」(音楽之友社の場合)という検索キーで1970
年代まで遡った書誌検索方法が与えられたことになります。

 実際に、出版社コードまでの「9784276」や「4-276」で「書誌検索」をかける
と、音楽之友社の出版物がズラッと一覧で現れ、さらに「4-b0777」で十数点の
書誌データ一覧が表示されると、
 「現行出版物に加え、1970年代まで遡ってサーチしているぞ!」
という、一種の感動に近い驚きを覚えます。

・古書店商用データベースなので、基本的に在庫から作成していく。従って、過
 去の出版物を網羅するものではない。

ながら、手元に現有する「旧書籍コード」が生かされた用例としては、とてもエ
ポック・メイキングな、正に「プロジェクト」だと思われます。

 ちなみに、以前話題にした『リコーダーとその音楽』の、「978-4-8906~」は、
日本図書コード管理センターの「登録出版者の検索」で調べると、「89066」が
日本ショットの出版者(社)番号なので、正しくはハイフンの位置がひとつずれて、
「ISBN978-4-89066-260-9」となるのでしょう。おそらく、
・ブークスで登録する時にISBN-13に直した。
・流通は全音楽譜時代のナンバリング(全音楽譜のISBN出版者番号は「11」)。
・アマゾンは記載されているISBN-10で管理。
・表紙や奥付の「発行」は日本ショット。
・「発売」は奥付によれば全音楽譜。
といった認識になるのではないかと考えられます。多分「260」というのが日本
ショット内での管理番号なのかしら。残念ながら2011年8月現在、日本ショット
社のサイトにある「出版物」の箇所にはこの本の存在は見当たらず、「260」の
確証は得られませんが……。

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